モルディブで亡くなったらどうなる? 今だからこそ知っておきたい万が一の時のこと。

現地お役立ち情報

 

こんにちは!
モルディブ在住 Yasu です。

今回のテーマは重いですが
「もし海外で亡くなったら」です。

どうして今回このテーマを書こうと思ったかと言うと、
数日前にネットニュースで「コロナ禍で亡くなった海外在住者」についての
報道があり、私も現在海外在住者なので、それを見て考えさせられた・・・
というのがあります。

仕事や結婚、その他の理由で短期滞在ではなく長期である特定の国に在住している
人はもちろん、旅行の短期滞在で滞在中に不慮の事故や病気で突然亡くなってしまう
というのは、そこまで多いことではないとしても決してめずらしいことではありません。

めずらしくないことではない反面、実際に渡航先で不幸が発生してしまった場合、

「どうすればいいのか」
「どうなるのか」

というのを知っている、という人は少ないのではないでしょうか。
事前にわざわざ調べる、という機会もそうそうないことと思います。

今回は私自身がモルディブ現地で旅行会社の立場として経験したことに加えて、
新たに自身で調べてみたことなどを綴りたいと思います。

ちなみに国により異なるため、こちらは「モルディブで亡くなった場合」となります。

どのように進んでいくのか

渡航先の国の宗教や文化、事情によっていろいろと違います。
ここでは一般的な流れに加え、モルディブではどうなのか、をざっくりと紹介します。

*ここでは実際にあった家族旅行(父、母、子供2名)を例に進めていきます。
状況を少し変更しています。

【概要】
・モルディブ北マーレ環礁のあるローカル島のゲストハウスに3泊4日の予定で滞在中。
・ローカル島は首都マレからスピードボートで約30分に位置。
・4人とも日本国籍。

【状況】
・滞在2日目の朝、シュノーケルセットを借りて4人で島のビーチにシュノーケルへ。
・4人とも泳ぎは得意、ライフジャケットを着用せず海へ。
・潮に流され沖へ出てしまう。
・母、子供2人は自力で島へ戻ったものの、お父さんが不明。3名がゲストハウスに戻り救助を要請。
・同日午後にお父さんが沖に沈んでいるのを発見される。
・島のクリニックに運ばれるも、死亡確認がされる。
・遺体は首都マレの病院に運ばれる(スピードボートチャーター)、家族も宿をチェックアウトし
同じボートで首都マレへ。

【流れ】
1.現地の病院、警察、ゲストハウスのスタッフなどから、在モルディブ日本国大使館へ
連絡が入る。
2.大使館職員が病院にて確認、日本の外務省に連絡。
3.警察による事情聴取、病院にて検死など(状況により所要日数3日~1週間ほど)。
4.スリランカへ搬送エンバーミング処理後、日本へ遺体搬送。

 

同行者は首都マレに移動後、首都マレに数日間滞在する必要があります。
その間、何度か警察署に赴き事情聴取などが行われ、平行して病院などへ赴き書類を
揃える必要があります。
必要な書類や手順は、どの国もそうですが日本国大使館や領事館、モルディブの場合は
首都マレにある在モルディブ日本国大使館の担当者が詳しく教えてくれます。

*遺族が旅行に同行していない場合、モルディブに赴く必要があります。
何らかの事情で難しい場合は、いずれかの人や機関に「代理」というかたちで
対応してもらうこともできるようですが、現地に行く遺族の方が大多数ではないかと思います。
ただこのコロナ禍、海外に出て日本に帰国するには制限が多く簡単なことではないため
このあたり、外務省の担当者と相談する必要があります。

*パスポートを保持していない場合、基本的に緊急発給してもらえます。
各都道府県の窓口に問い合わせる必要があります。

*モルディブでは火葬は宗教上できませんが、スリランカにて遺体搬送後、希望であれば
可能かもしれません(※未確認です)。

モルディブならではの注意点

先に紹介した通り、渡航先の宗教や文化、事情により異なる部分がありますが
ここでは「モルディブならでは」を紹介します。

・土葬のみ
・エンバーミングが国内でできないため、日本へ遺体搬送する前に隣国のスリランカへ
一旦搬送されエンバーミング処理される。

 

モルディブの国教はイスラム教。
宗教が生活の中に深く根差しており、死に対してもイスラム教の教えが強く影響しています。
そのため、たとえ現地で亡くなった外国人観光客がイスラム教信者でなくとも、イスラム教徒の
葬儀習慣が用いられます。

渡航先によっては日本と同じく火葬の場合、遺体を日本へ搬送せず、現地で火葬をし遺骨を
日本へ、というのも可能ですが、モルディブではそれはできません。

また、首都マレの病院で検死後は遺体安置所で一時保管されるわけですが、
この遺体安置所の床数に限りがあるため、亡くなった方がたまたま数多く重なってしまった
場合などは場所がなく、問題になることがあるようです(過去ありました)。
また通常よりもスリランカへの搬送までに時間がかかることもあるようです。

ちなみにこちらはかなりのレアケースだと思いますが、
モルディブ滞在中に亡くなり、もし遺族がいない、もしくは遺体の引き取り手がいない場合は
「行旅死亡人」として、モルディブ国内の墓地に埋葬されることになります。

その場合、亡くなった方がイスラム教徒でない場合は、通常イスラム教徒が埋葬される際の
儀式は行われず、ただひっそりと土葬されるそうです。

忘れてはならない費用

悲しみに暮れる反面、現実的に重くのしかかるのがお金の問題。

これもまた渡航先から日本への距離や移動経路によりますが、モルディブから日本の場合、
遺体搬送には100万円~150万円ほどかかるようです。

現地で揃える書類(死亡証明書、死体検案書、遺体証明書、納棺証明書、防腐処理証明書等)も
いずれも有料です。

それに加え遺族のモルディブまでの往復航空券代、現地宿泊費や通信費、食費、移動費などが
必要となります。
また現地の言葉が分からない場合、病院や警察へ同行してくれる通訳を現地で雇う必要がある
こともあるかもしれません。
もし亡くなる前に意識がある場合は病院に入院、手術等が行われますが、もちろんその費用も
請求されます。

そんな時に唯一頼りになるのが、海外旅行傷害保険
今は出発前に日本の国際空港内で気軽に加入できますよね。
万が一の時のため、これがあるとないのとでは天と地の差。
必ず入っておきたいものです。

 

コロナ禍で亡くなってしまった場合

現在日本からモルディブへの旅行は、まだ様々な側面から現実的には難しい状態ですが
モルディブ自体は7月15日から観光業を再開、日本人観光客の受け入れもしています。

万が一、自身や同行者がモルディブ到着後にコロナの陽性反応が出て悪化し、亡くなって
しまった場合、どうなるのか。

エンバーミングをモルディブ国内でできないため、感染症防止、衛生上の問題から
コロナ感染により亡くなった遺体を航空機に乗せることはできるのか・・・??
という懸念点がまずあります。

もし可能な場合でもフライト便数がかなり限られていますし、状況が状況なだけに
モルディブ側だけではなくスリランカ側の事情も様々変わりやすいと思われるため、
通常期のように比較的スムーズにモルディブから日本まで遺体搬送、が難しいことも
あるかもしれません。
費用も通常期よりもかかるかもしれません。

国によっては今、入国の条件に「海外旅行傷害保険加入」が挙げられている場合が多い
ですが、モルディブは現在その条件はありません。

つい最近「PCR検査陰性結果の事前申告が必須」に変更になりましたが、
モルディブは経済優先で動いており外国人観光客を多く受け入れるべく動いているため
他の国と比べると緩い部分があります。

「なくても入れるから大丈夫」なことは「安全、保障されている」ということではない
ということを重々念頭に置き、このような時期だからこそ、万が一の時のことを知り、
とれる対策は取っておく、最善の状態で渡航する、ことが必要となります。

お困りの際はご連絡ください

弊社ではご依頼により、同行者もしくは遺族の方の首都マレの宿泊施設の手配、
国内移動アレンジ、警察や病院等へ同行する現地アテンド(日本語対応)などを
承ります。

これまで私自身は遺族の方のアテンドの経験が一度あり、弊社代表は以前日本国大使館
スタッフ時代に数度アテンド経験があります。

遺体搬送においての事務的な部分は在モルディブ日本国大使館の担当者の方が詳しく
教えてくれますが、同行者もしくは日本からいらっしゃる遺族の方の細かな現地での
部分は自分自身で行う必要があります。

日本国内とは事情が異なります。
現地でのサポートが必要な場合、お気軽にお問い合わせください。

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