旅先での服装。
考えますよね。
たくさん歩くから、普段から歩きなれている靴を履いて行こう!とか
お洒落レストランに行くから、ワンピースを1着持って行こう!とか
海に行くからビーチサンダルを買おう!とか。
日本と季節が真逆の国に行く時、旅先の国内で気温差のある地域へのさらなる移動があったりする
場合は、衣替えをしてクローゼットに眠っている服を引っ張り出す必要もあるかもしれません。
・・・と、このように旅行先の気温を考えて服や靴をチョイスする、という経験は、誰もが一度は
あるのではないでしょうか。
では、宗教を基準に服装を選ぶ、選ばなければならない状況になったことはありますか??
モルディブはイスラム教
そうなのです。
しかも国教がイスラム教、100%イスラム教です。
リゾート島のみに滞在する場合、到着した国際空港から直接リゾートへのボートに乗り込み
リゾートへ。
帰りはリゾート島からボートで直接空港へ、そしてそのまま空港カウンターにチェックインして
帰路に着く、というツーリストが多いため、実際にモルディブに行ったことがある人でも
”モルディブはイスラム教”
ということを知らない、もしくは知らないまま、という人も非常に多いのです。
リゾート島ももちろんモルディブなんですが、ローカルとは完全に切り離された存在。
イスラム教では禁止されているアルコール、豚肉も、リゾートはそれらを仕入れ・提供できる特別な
ライセンスを取得しているため、特別に取扱い可能になっているのです。
首都マレを含むローカル島(現地の人が住む島)は、完全にイスラム教。
そのためアルコール、豚肉の流通は一切ありません。
そしてイスラム教といえば連想する、女性の肌の露出をせず頭まで何かかぶっている、独特な服装。
日本で生活しているとイスラム教の人に接する、見かける機会はないという人が大半と思われる
ため、テレビの中では見たことがあるけど・・・といったところでしょうか。
女性は服装に気を付けて

イスラム教では 女性の肌の露出を良しとせず、肌を隠すようにします。
なぜ隠すのかというと、もともとは女性を守るため、だそうです。
イスラム教の倫理は”人は弱いもの”という前提から成り立っており、人間は意思が弱いため、女性が
肌を露出して歩いていると男性の理性を崩壊させてしまう、それによる性暴力を危惧しているのです。
婚前の性交渉にも戒律があり、それを守るためにお互いのため、女性は肌を隠さなければならないと
されています。
”ん~、でも私、イスラム教じゃないしな。”
”自分の身は自分で守る!服装くらい好きにさせてよ。”
と思う人もいそうですが。
日本のように宗教の自由があり、様々な宗教信仰が認められている国なら、例えば犯罪率が高いから
服装には気を付けよ!と言われたところで、”自分の身は自分で守る!”を貫くのは本人の自由
ですが、やはり宗教、とりわけ国教となると事情が異なります。
リゾートは置いておいて、現地の人が住むローカル島におじゃまする、滞在する場合は、
郷に入れば郷に従え。
現地の習慣や慣習を尊重し、重んじるべきだと考えます。
どんな服装がいいのか

じゃあ、どんな服装をすればいいのでしょうか。
かなり旅慣れた、世界中を旅しているような人(特に女性一人旅)のブログを読むと、
”現地の人と同じような服装をすれば、無用なトラブルに巻き込まれにくい”との情報をよく目にします。
確かに・・・。
現地の人と違うから目立つわけですからね。
じゃあ私たちツーリストも、肌の露出をせず、頭まで何かをかぶる・・・??
暑いのに?(←平均気温30度、体感温度35度以上の日々)
モルディブは国教がイスラム教と言えども、中東のように厳しくはないのでそこまでする必要はない
でしょうが、とりあえず、現地の女性が外出時には着ないキャミソールやタンクトップ、短パン、
ミニスカートは避けるべき。
現地の女性(特に若い層)でも見かける、多少タイトなジーンズに半袖Tシャツは問題ないと言える
でしょう。
トップスは長袖のチュニック丈だと尚ベター。
ちなみに観光ポイントでもあるモスクの内部に入る場合は、セキュリティスタッフによっては半袖
TもNG!と言われてしまう場合が稀にあるので、サラッと羽織れる長袖シャツや、ストールなんかを
バッグに入れておくと便利です。
ローカル島ツーリズムの継続のために

(とあるローカル島。外国人ツーリストがビーチから戻る際、水着姿にパレオを巻いて歩いている)
実はこれ ”できるだけそうしましょう” という次元ではなく、”必ず守って欲しいこと”になりつつ
あります。
今月8日にモルディブ観光省から、ある公示が出ました。
要約すると下記の通り。
”ローカル島を訪れる外国人観光客の服装の露出度が高く、現地の風紀を乱している。との苦情、
指摘が一部の島民から出てきている。
持続可能なローカルツーリズムのため、各ローカル島の宿泊施設及び関係機関は、モルディブは
イスラム教であることを、ローカル島を訪れる観光客に事前に知らせ、特に女性の服装において
理解と協力を仰ぐこと。”
いつかは国を巻き込んでの案件になるのでは、とは思っていましたが、ローカル島ツーリズムが
解禁されて11年目にして、その時は来ました。
11年目といっても、本格的に外国人観光客がローカル島に足を運び始めたのはここ4、5年ですから
来るべきして来た、という感じですね。
そのうち、ローカル島の宿泊施設内に服装規定に関する掲示の義務とか、チェックイン時の説明
義務なんかが発生してくるのではないでしょうか。
モルディブの人もいろいろで、
”特にそんなの気にしなくていいよ~、あなた外国人だし”という温度の人も、実はいたりします。
(といっても大半はご多分に漏れず男性ですが)
でも実際に政府からお達しが出たということは、”外国人観光客と言えども、ローカルに入って
くるからには現地の倫理を尊重して欲しい” と声をあげている島民がいるのも事実。
モルディブって、南国の小さな国ということもあるのでしょうが、長い先のことはあまり考えない、
その時がよければいい、という風潮が強いように感じます。
個人も、国も。
それがいいか悪いかは別として、せっかく始まって軌道にのりつつあるローカル島ツーリズム。
いろいろな課題はありますが、島に新たな雇用を生み、お金が直接ローカルに落ちることで島が
潤うのもまた事実。
私がモルディブで青年海外協力隊だった時、同期の隊員(モルディブではない南の島に派遣)
から、首都からちょっと離れると壁のない家ばかり、仕事がないから昼間から酒に溺れて生きる屍
みたいになっている人が結構いる、という現状を聞き、同じ海のきれいな南の島国なのに?!
と衝撃を受けたのを思い出します。
観光業がその国の基幹産業かそうでないかで、全く違うんですね。
ローカルツーリズム、長く続いて欲しいです。
ご協力をお願いします。